創作百合 小説1
グラスの氷がすぐに溶けてしまう季節が、ようやく終わり。
むしろアイスではなく、ホットのカフェラテが飲みたくなる季節へと。
この科学と魔法で栄えるロベリアも、ゆっくりと移り行く……。
ーーそう、季節はか弱い生命が死に絶える程の、冬になりつつあるのだ……。
そんな恐ろしくて、この国で産まれしものには。
親しみも感じられない、悍ましい季節の到来に……。
私は心の奥底から喜びを感じて、思わず幸福で満ちあふれた笑みを浮かべて。街中を歌って踊り歩いてしまいおうかと、そんな事を考えながら。
「冬の訪れは、いつも良いな……。気分が高揚するよ」と嬉しく呟いてから。
ーー心底馬鹿にするように、この国の女王ロベリアをあざけ笑うように。
「どんなに科学が発展させようとも、まだ止められないだね。あーあ……ほんと残念な奴、しかも今年は私のフィロのお陰で、忌々しいあの発電所も使えないから。さらに大変でかわいそう」と悪魔特有の笑みで、けらけらと言いながら。
隣で気持ちよさげにすやすやとお昼寝をしている、黒髪ツインテールのフィロを王子様のような気分で、優しく起こすと……。